平衡計算例:SiC-SiO2間の反応解析

SiCとSiO2の間では、一気圧のAr中では1800℃程度以上で激しい反応が起こります。この場合、SiO2は液相となっていますが、どのような反応が起きるか、考えられるものを列挙すると、以下のように幾つもあげられます。また、ガス種は他にも幾つも考えられます。

  •   SiC+2SiO2 --> 3SiO+CO

  •   2SiC+SiO2 --> 3Si+2CO

  •   SiO2+Si --> 2SiO

  •   ・・・

それぞれの反応の平衡定数を求めて検討することは出来ますが、現実にはかなり大変で、全体の反応がどのようになるのか、よくわからなくなるのではないでしょうか?実は私たちは以前この反応を実験で詳しく調べことがあります。その結果をまとめると、SiCとSiO2の反応は近似的に、

  • 2SiC+3SiO2 → 4SiO+2CO+Si

と整理できることがわかりましたが、何故そうなるのか、よく理解できませんでした。この反応は、実はシリカの炭素還元により金属シリコンを製造するときに起こる反応で、多くの研究論文も出されています。つまり、それだけ整理しにくいということでしょう。そこで、この反応をCaTCalcを用いて調べてみましょう。

■ 計算の手順
計算の手順は以下のようになります。

1.元素の指定、熱力学データの選択と読み込み
2.計算条件の設定

3.計算実行
4.結果の解析

1.元素の指定、熱力学データの選択と読み込み

Systemボタンまたはメニューの[Page]-[System]でSystem画面にします。

周期律表でSi、OとCをマウスでクリックし選択します。
下に表示されるファイルの中のRICT-Ceram.EDBを選択します(左端のセルをクリックすると、+が表示され選択されます)。

Loadボタンを押して熱力学データを読込みます。

SiC-SiO2 fig1.png

2.計算条件の設定

Feed/Activity Conditionsで[Add Feed]ボタンを押して2行追加し、下図のように[Species]列にSiCとSiO2を手入力します。次に、計算の種類として[Equilibrium Calc]を選んだ後に[Set Default Values]ボタンを押します。さらに右の条件設定パネルでxの値を図のように0.5に設定します。

SiC-SiO2 fig2.png

3.計算実行
 

Calculateボタンを押し計算を実行します。進行状況を表すプログレスバーが表示されますので、中断したい場合は右の×ボタンを押します。

4.結果の解析

計算結果は自動でグラフ表示されます。

SiC-SiO2 fig3.png

1815℃以上でガスとSiC、及び金属Siの液相となることがわかります。
次に下図のように左パネルの[Axis]タブを選択表示します。そのY_Axis設定のVariableとして[Gas Pressures]を選択し、[Apply]ボタンを押します。ガス圧やActivityはデフォルトでは対数表示となりますので、ここでは下部のLogarithmicのチェックボックスを外します。

SiC-SiO2 fig4.png

この図から判るように、ガスの主成分はSiOとCOです。

そこで、その割合を詳しく調べるために、[List]タブをクリックしてリスト表示にします。

SiC-SiO2 fig5.png

メニューの[Edit]-[Copy to ClipBoard]を選んで結果をクリップボードにコピーし、他の表計算ソフト(Excelなど)に貼り付けます。表計算ソフトの中で、ガス相のSiOとCOの成分割合の比を計算し、グラフ化したものが下図です。

SiC-SiO2 fig6.JPG

結果をまとめますと、1815℃程度以上ではガス圧が1気圧以上になりますので、例えば1気圧のアルゴン中では急速に反応が進行します。従って、

  • 1815℃、1気圧の元ではSiO/COの平衡分圧比がほぼ2である。

  • その結果、近似的に 2SiC+3SiO2 → 4SiO+2CO+Si

ということが言えます。